箱根の温泉について

箱根の温泉

箱根温泉

 複雑な地形の火山である箱根は、大涌谷など、いまだに噴煙を上げている休火山です。箱根のいろいろな場所から湧き出す豊富な温泉が古くから人々を癒してきました。
 温泉の掘削技術がなかった時代には、崖や渓谷に湧き出す温泉を利用して温泉場、湯治場などが作られましたが、近年では動力による温泉の汲み上げが行われるようになり、温泉を利用する施設も地形上の制約が少なくなり、いろいろなところで作る事が出来るようになりました。
 また、古くからの自然湧出の温泉は、温度や湧出量が、地層の変化、雨量、気温などによって大きく変動する事もあり、また、その量も動力汲み上げに比べて多くはないので、この点からも、現在では動力による汲み上げが行われています。
 自然保護と利用の利便性の調整に注意して自然の恵みを享受したいものです。

 

 実際に宿泊施設などで利用出来る温泉の泉質は、井戸の深さや湯脈により、地質学的な区分とは異なる場合もあります。
 また、温泉成分は時間と共に変質します。
 温泉には揮発性の成分も含まれています。この揮発性の成分にも薬効が認められている場合もあります。
 空気に触れる事によっても温泉は変質します。取り出したばかりでは透明な温泉が白濁し、にごり湯となる事はよく知られています。
 宿泊施設などでの温泉を利用した湯舟には、使用している温泉の分析表を掲示する事が義務付けられています。これらの掲示によれ詳細な温泉成分を知る事が出来ます。
 複数の源泉井から温泉を供給して使用する場合、それぞれの井戸の成分は異なりますので、最近では個々の源泉井の温泉成分ではなく、湯舟での成分を分析して掲示する方向にあります。 
 箱根の各温泉地の泉質について、各観光協会などが公表している主な泉質は下記のようになります。

 

地名 代表的な泉質
>箱根湯本 単純温泉、ナトリウム-塩化物泉など
塔之沢 ナトリウム-塩化物泉
宮ノ下  ナトリウム-塩化物泉
強羅 酸性ナトリウム->カルシウム-マグネシウム硫酸塩泉
芦之湯 単純硫黄泉(硫化水素型)・単純温泉
仙石原温泉 カルシウム-硫酸塩泉

ボーリングによる温泉井 
 現在ではボーリング技術の進歩により、大深度からの揚湯も増えています。温泉は同じ場所でも深度が変われば湯脈も変わり、泉質も異なりますので、上記の表のような地域と泉質の関連性は薄くなってきています。

 

 宿泊施設によっては、複数の温泉井を持っていて、異なる泉質の温泉を混合して風呂に給湯している場合があります。

 

 また、同一施設でも浴槽ごとに給湯している源泉が異なることもあります。 

 

 「温泉100%」、または「かけ流し」は、湯量、湯温、配管と浴槽のバランスが取れていないと出来ませんが、自然の温泉は湯量、湯温が不安定です。
 また、たとえそれらが一定でも、源泉から浴槽への途中の気温、風速などによっても、浴槽に到達する湯温が変わってしまいます。

 

 そのため、安定的にお湯を供給し、湯温を一定にするため、水または水を加温して混合し温度、湯量を調整をする場合が多いです。また、お湯は循環使用することもあります。

 

 このような訳で、泉質についてこだわる方は各宿泊施設に直接問い合わせをおすすめします。

 

 なお、現在では、肺炎などを引き起こすおそれのあるレジエネラ菌への対策として、浴槽の温泉には水道水と同程度の濃度の塩素の注入が義務付けられていますので、浴槽で水道水のような塩素臭を感じる場合があります。

 


泉質と効能

芦之湯・松坂屋の温泉

 温泉の医学的効能については古くからの伝承による効果に加えて、近年科学的に研究されるようになりました。
 それぞれの温泉の表示に一般的な適不適が書かれておりますが、医学的に利用する為には、それぞれの症状、体質などに個人差がありますので、専門の医師にご相談下さい。
 また、温泉の効果はその泉質だけでなく、利用する期間、お風呂への入り方などにもよります。
 温泉療養の効果には温泉水そのものの効用だけでなく、「転地効果」といった要素もあります。


温泉とレジオネラ菌

 お風呂でのレジオネラ菌への感染の防止のため、温泉でも塩素消毒が義務付けられています。。
 レジオネラ菌が人体に健康被害をもたらすのは、呼吸系統に菌が侵入する場合であり、万一、菌が入った水を誤飲するなどの事があっても、通常の健康な方は発症しないと言われております。
 レジオネラ菌の健康被害の原因については、循環式浴槽のろ過系統や温泉の貯湯タンクで施設管理の不備により、菌が増殖する事によると言われております。
 一部の泉質の温泉ではPH値等により、細菌が生物学的に生存出来ないものもありますが、レジオネラ菌は地中、空気中などに自然界に普通に存在する菌である事から、天然温泉のお風呂であっても湯舟に存在する事はあります。
 特に、入浴者の体について浴槽に入る事も多いと思われます。
 いずれにしても、給湯設備、浴槽、循環設備等の清掃、殺菌等が適正に行われていれば菌が爆発的に増殖し、健康被害をもたらす事は少ないと言われています。